うら
□痴漢
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この日、俺は突如舞い込んだ依頼のために外出していた。新八はお通うのコンサート、神楽は定春の散歩と言うわけで銀時が依頼を受けることになったのである。
依頼主が遠い場所に住んでいたため思わぬ遠出をするはめになったが、結構な大金を積まれたので遠出などお構い無しにルンルン気分で電車に乗り込む。
電車は混んでいた。通勤ラッシュに引っ掛かったのだ。
無理矢理にその身を捩じ込み、なんとか電車には乗れたものの、不快なことこの上ない。
バフッ!
「す、スミマセン…」
突如動き出した電車の反動で、目の前の人の胸板にぶつかってしまった。
しかし、こんなに混んでいては仕方のないこと。
早く着かないかな…などと思いながらぼーっとしていた時、不意に下半身に違和感を覚えた。
『…え、何これ…?当たってるだけだよね…ねっ!??』
……………
『いやいやいや!ないない!!ってか何でおっさんの尻!?ねーちゃん狙えよ!!…って…揉むなー!!!』
「ぁ…っ!…くそ…」
尻に添えられた手は厭らしい手付きで強弱をつけて揉んでくる。
前の胸板の男は手を上げてるし…。
後ろを見ようと振り返ろうにも、人が多くて振り返えれない。
『後ろからはあはあ言ってるの聞こえるんですけど…』
すると、尻を揉んでいた手が前に回され始めた。
『ちょっ…!!!』
これはヤバイ
振り払おうにも、人混みに手足を取られて動かせない。
ふと、銀時は思った。
こんなに俺の周りに密集してるのはおかしくないか、と。
そりゃあ満員電車なんかはツメツメだろうが…手足がまったく動かせねぇってのは…
それに…
『んで俺の周り…こんなおっさんばっかりなんだよ』
通勤ラッシュはおっさんだけじゃないはずだ。ちゃんと女性もいるはず。なのに…
そんなことを考えている間にも、手はズボンの上で厭らしく動く。
「ふっ…ゃ…」
その時、別の場所から伸ばされたであろう別の手が銀時の尻に触った。
『なっ…!!』
前の胸板の男がニヤリと笑ったのが目に入り、ある言葉が思い浮かんだ。
性の悪い痴漢は、複数の人数でされるものだと。