素敵小説

□御指名♪キミに決めた!
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〜臨時〜
『つーことなのよ、パー子』

『誰がパー子だコノヤロー、アゴ美』

『あずみだって言ってんだろーがッ!』

ひょんなことから臨時のバイトの予定が責任者ですか?コノヤロー。

桜色のグラデーションと金糸に彩られた着物。帯はそれを包むように控え目な紫で。銀色の髪は増量。和服にツインテールで化粧をする銀髪の男はただため息をつく。

『…でどうすりゃいいんですか?アゴ美お姉様』

『まぁ、いいわ…とりあえず、予約のお客様をゲットして欲しいの!』

現状を説明すると、我が万事屋は久しぶりの大飢饉に見まわれまして…眼鏡とチャイナ娘は実家(道場)に帰りました。

いつものことなので家主であるお登勢は追い出しはしないのだが、明日の飯さえ危うくなった銀髪の男はバイトをすることになった。そう、パー子として。inかまっ娘倶楽部。

『仰せのままに…はぁ』

ちなみに今ノーパン(笑)。

最近、ストーカー被害も酷いため…明日のパンツすらない。変わりに置いてかれるフリフリの明らかな女物を身につけられるほどの勇気もないため、ノーパン。

(減るもんじゃねぇし…)

そんな浅はかな考えを後で後悔することを銀髪の男は知らない。

〜巨漢留守〜
『…であの大男、いやママはなんでいないんだコノヤロー』

『坊ちゃんが熱出しちゃったみたいで今病院に行ってるみたいなの』

ただ食いつなぎ程度にしか考えていなかった銀髪の男はため息をつく。何も考えずに暖簾を潜るといつもの倍えげつない顎の男が顔(顎)を突きつけてきたのだった。最近は何処も財政難らしく、かまっ娘倶楽部もその煽りを受けているらしい。

『…あんな深刻そうなママ見たことないわ、だからお願いね!パー子!』

これから下見に来る客はなかなかの上玉らしく、それをゲットしなければ店の未来がないらしい。

(…なんでこうも運命って悪い方向に行くのか…面倒だチキショー)

下見に一番高い個室を予約するのだから、金は持っていることは理解できる。それもそれは突然の予約であり、店のシフトはボロボロ。

まだしどろもどろな新人数名とアゴ美。そして臨時バイトのパー子である。しかも巨漢は留守。

『私は別の客と新人教育があるから、ヘルプ出来ないけど』

『…取れなくても給料はきっちりもらうからな』

顎の男はニヤリと笑って男の耳元で囁く。

『指名を取れたら、給料は三倍違うわよ?』

銀髪の男は息をのんだ。


- 壱 -
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