けだるい   

□拍手文
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風鈴の音がちりんと鳴った。夏の風は少しぬるい。けれど、今はそれでもいいと思ったから、開けておいた窓はそのままにしておこう。自分の指を見る。ちょっと爪が伸びたかもしれない。

私はもう既にアイスを食べ終えた。桃味のやつ。でも、私の隣りに座っている人はまだアイスを食べている。本日三本目のアイスを口にしているこの人は、今一体何を考えているのだろうか。

今日の万事屋は穏やかだ。でも、昨日は違ったの。凄く、暗かったの。私がお帰りって言っても、皆表向きでは明るかったよ?でも何だか落ち込んでるような気がして。皆全然喋らなくて。私は銀さんどうしたのって言っても、ああ、何でもねぇ、って言うばっかりで。そんなの、どうやって見たって何かあったとしか考えられないじゃない。怖かったよ。私、凄く。

銀さんが本日四本目のアイスを口にした。お腹壊すよ。
この人は、他の二人は、一体何を考えているのだろうか。
お願い。私を一人にしないで。


「どうした?…何泣いてんだよ」

『…イヤ、幸せだなあと思って』

「違ぇだろ」

『欠伸』

「嘘言うな。…何かあったのか?」


そのまま銀さんにもたれ掛かった。銀さんの肩は、腕は、とても頼もしくて。それが今はとてつもなく悲くて、悔しくて、鼻がつうんってなった。

私も一緒に行っても、いい?
それが、それだけが、何故か言えなくて。それだけが、私の胸を、苦しくさせる。



ひとりぼっち(ひとりぼっちじゃないけど、ひとりぼっち)

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