□拍手文
1ページ/1ページ

何故だかはわからない。でも、確かに私はここに居る(と、思う)


今、私は見知らぬ寺子屋の真ん中に立っている。教室の窓からサンサンと日の光りが照ってくる所から見ると、どうやら今の時間帯はお昼頃らしい。
周りには小さい子供達がギャーギャー騒いでいる。


…私は何故ここに居るの?どうやってここに来たの?

残念ながらこれより前の事は全く思い出せ無い。

さて、どうしたものか……

周りの子供達は私には目も暮れずに遊んでいる。…というか、気付いていないようにも見える。


……なんだかおかしい。


暫くじーっと子供達を眺めていると、日の光りが暖かくて気持ちがいいのでなんだか眠たくなってきてしまった。いけないいけない。


どうやらまだ授業は始まっていないらしい。休み時間といった所か。

子供達は元気だ。皆走り回って鬼ごっこなんかをしている。


そしてその中に一人、気になる子供を見つけた。どこかで見覚えのある顔立ちの少年だった。その少年は、一人教室の隅の方でいびきをかいて寝ている。

その少年は、小さな身体に相応しくない大きな刀を両腕でしっかりと抱えて眠っていた。だらし無くよだれを垂らしているが、よく見れば綺麗な顔立ちをしている。髪はよく目立つ、銀髪でふわふわの天然パーマ……


あれ?この顔に、この髪、もしかして………


「のう銀時ー」


いきなり、後ろから声がした。


バッと弾かれたように後ろを振り返ると、そこには有り得ない光景が広がっていた。


『……う、そ…』


そこはさっきと違って静かな音の無い夜の世界だった。星がチカチカ瞬いて、月が良く見えている。

建物の屋根の上で二人の若い男の人が寝転んで何か話している。さっきの声は良く聞こえていたのだが、距離もあるせいか二人の会話は全く聞こえ無かった。


良く目を懲らして見ると、二人の内の一人はまた銀髪の天然パーマ。


そうだ。あれは、若い頃の銀さんだ。きっとさっきの少年もだ。片方の人が銀時、と確かにあの人を呼んだのがなによりの証拠だ。


でも、一体どうして?



銀さんと、隣りの誰かの会話は相変わらず聞こえ無かった。そこにチカッと光りが。あ、流れ星。


すると、世界がぐにゃりと歪んだ。銀さんも。少しずつ世界が変わる。そしてさっきのそれは完全に消えてしまって、新しい世界が見えた。


いきなり大粒の雨の音が私の耳を襲った。空は灰色で、濁っていた。

…今度は何だろう………


『……っ』


なに、ここ。
下に違和感を覚えてそこに目を落とすと、そこには侍や天人達の、死体。死体、死体、死体。私はいくつもの数え切れない数の死体が重なった上に立っていた。


『い………や…』


下の人、血が…出てる…あ、私踏んじゃってる。ごめんなさい。う、あ、…………どうしよう…あ…ああ………


言葉で表し切れない喪失感や失望感、恐怖感で満たされる。


…………吐き気ガスル


『………』


また遠くに、人が立っているのが見えた。あの人も……


『…………銀さんだ』


銀さんは、血溜まりの中、たった一人で、ただただ空を見上げていた。



「…おんしゃこれからどーするがか?」


「俺か?そーさな…」

銀さん、

「俺ァのんびり地球で釣り糸たらすさ」

あなたは

「地べた落っこっちまった流れ星でも釣りあげて」

あなたは、

「もっぺん空にリリースよ」


頭の中で、銀さんの声が響いた。

目の前には血で真っ赤の悲しい顔した銀さんが居る。

ああ、銀さん…………



私はどうしたらいい?



……………銀さん














『…んあ』


ジリリリリリリといつもの目覚まし時計の音がする。


あれ?今のは何だったの?侍は?天人は?銀さんは?


さっきまで血の海にいた私は、今は布団の中。そして目の前に………


『銀さん』


いつもの銀さんが、いつものように、私の隣で眠っていた。


「んがっ………ぁあ?あ、おはよ。」


『…………おはよう』


「ん?どうした?何かあったか?」


『うん。あのね、銀さん、』





夢を見たの(銀さんの昔の夢。)(マジでか)(うんマジで)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ