ああ、あいつ今頃どうしてるかな。
何やってんだろう。相変わらずあの変な店やってんのかな。
相変わらず、アイス何本も食ってんのかな。
日傘を差してあの道のりを歩く。
ここら辺は飲み屋が続いている。金持ちそうな人々を通り過ぎ、ここの店の角を曲がると川がある。沿って歩くと橋があって、そこを渡ると。
本当に何年もの間ここに来ていなかったので、もしかしたら迷ってしまうのではないかと思っていたのだが、まあ少しコンビ二なんかが増えた位で、全く昔の記憶どうりだ。
あいつも変わっていないだろうか。
なにも告げずに黙って出ていった私のことを、あいつはまたあのときのようにすんなりと受け入れてくれるだろうか。
あのときのように。
あの、何にも考えていないような、けだるそうな顔をして。
軽く、持っている傘をくるくると回す。足取りも軽い。
回転する赤い傘の色が、私の肌や、周りの地面をほんのりと赤く染めていた。
さあ、もうすぐだ。もうすぐでヤツに会える。あいつ、私を見たら一体どんな顔をするだろう。
橋を渡る。小走りになりそうな足を必死に抑えて早足で歩いた。
この先、この先に、あの店がある。
あいつの家の下は飲み屋だ。おばあちゃんが一人で経営してる。歌舞伎町の四天王の一人だ。嘘みたいな話だけれど。
ああそうそう。こんな感じこんな感じ。
え、どんな感じだって?
こんな感じだよ。こんにゃろめが。
この階段をあがった先に、ヤツの家、かつ店がある。
万事屋なんて、いまどき流行らないような店だ。
あいつがいるんだ。
変わってない。全く変わってない。
階段の手すりをしっかり握って一歩ずつ上がっていく。
そして、私は軽い指先で「万事屋銀ちゃん」へのチャイムを鳴らしたのだった。
ただいま!(新聞ならいらないですよ)(え、君、誰?)
拍手ありがとうございますー
長いうえにグダグダしててすみません;