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□春休み 〜けいおん!より〜
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とある高校生は窓から外の景色を眺めていた。
黒い髪にTシャツ一枚の高校生、秋山澪は外の景色を見ながらペンを動かしていた。
「今日はやけにペンが進むな」
彼女は桜が丘高校の軽音部の一員で、歌詞製作係なのだ。
澪はノートを閉じて鞄に入れるとベースを取り出す。
「遂に明日は始業式…三年生か」
澪は小さな音を鳴らしながら呟く。
軽音部の仲間と練習は今まで何回かやってきたが、学校の部室で練習をするのはかれこれ二週間振りになる。
「………唯にメールしておくか」
澪は携帯を開き明日は寝坊するなよ的なことを書き送信した。それと入れ違いで着信が鳴る。
「律から…?もしもし」
『あ、澪?』
「今何時だと思っているのだ……もう少しで十一時だぞ」
『お前なら起きてると思った』
「切るぞ」
『ごめん切らないで!』
澪の親友、田井中律は電話越しでもわかるくらいに焦る。
『明日から三年だな…』
「……後一年か」
明日から三年になる澪と律は一年しか学校に居られない。卒業してしまう。
『軽音部続けたいよな………唯やムギ、梓も一緒に』
「仕方ないさ。それだけ時間が過ぎたんだから」
澪は涙を拭き、鼻水を啜る。
『あれ澪、もしかして泣いてる?』
「な、泣いてなどいないっ!」
『あははっ、じゃあまた明日ね』
律からの電話が切れた。
「あいつ…何の為に電話を?」
澪は明日の支度をして寝静まる。
─END─