その日、私は周りの雰囲気がいつもより浮き足立っていることには気づいても、その理由がわからなかった。

研究員のこも、ファインダーのこもエクソシストのこも、性別が女に属する人みんなそわそわしていて、なんでなのか興味がわいても探るつもりのない私なので、彼女達が待ちに待っていた日がなんなのか気付いたのは、その前日になる。











「…そっか、バレンタインか」

「知らなかったんですか!?」



黒の教団、大食堂。



いつものメンバーでいつものように食事を取る私は、アレンより聞かされた翌日のイベントに対してそんな軽い反応で返した。


まったくもって任務もない退屈で平和なこの頃。



そっか、女子がやけに好きなやついないかだとか、どこの誰それのこと狙ってないかだとか変に他人の恋愛事情にしつこいのはそのせいか。


「今年、私ちゃんとアレン君にもラビにも、クロウリーにも作るからね」

と、リナリー。


「わぁ〜ありがとうございます!!」

「楽しみさ〜」


明日かぁ…


みんなちゃんと考えてるんだなぁ




…まぁ




「義理チョコぐらいなら、上げてもへんじゃないよね」










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