short

□デルタ
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瞳を捉えた瞬間、私は思わず静止した。その存在に射すくめられたように。
頭の中は空白で、言語は引っ込んでしまっている。

しばらくそうして突っ立ていると、その人は穏やかに微笑んで、私の目の前まできていた。いつの間にか。

「―――はじめまして」
「はじめ、まして…」

たどたどしく、私は口を開いていた。言語が戻ってきていてよかったと思った。

「初めて?」
「え、えぇ…」

私は何故か細心の注意を払うようにして、目の前の相手と対峙する。

「だと思った。 初めて見たから」

頷く。まさか、こんなに規模の大きい、まさか私の知らない人も来るほどのものなんて、知らなかった。

「あの、あなたはいつもここへ…?」
「―――ここの旦那と友達なんだ」

私の質問には直接答えず、相手は微笑みを崩さないままそう答えた。

「君は嫁さんの方と友達なわけだ」
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