short
□コア
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「それってさ、本当に好きって言えるの?」
「―――え、」
私は心底驚く。まさか、そんなことを言われるとは思ってもみなくって。
「だってさ、本当に好きだとしたらもっとアピってかないと。 見てるだけとかでいいなんて言わないよね?付き合いたいんでしょ?」
「…つ、付き合いっていうか、その、仲良くなりたいっていうか、」
思ってなくて、目の前の相手にしどろもどろに答えるしかできない。だって、本当に好きだからこうして相談しているのだ。
「とにかく好きだったら、なんとかしないと」
黙って神妙に頷いてしまう。
―――ちゃんと、わかってる。
「その、なんとか自分でしなくちゃなんないのは、わかってるんだけど…」
「わかってるなら、行動しなくちゃ。かなわないと思うから何もしない、なんて言ってないで。 そんなの本当に好きなの?って思っちゃうよ、私だったら」
相手の汗をかいているグラスが視界に入る。私はカプチーノを飲んでいた。視線は自然と降下して。
「…聞いてる?」
「き、聞いてるよ! それに私、何もしないなんて言ってない!」
―――ちゃんと、わかってる。
自分から動かなきゃ、何も変わらない。待ってるだけでは、駄目なんだ。