short

□コア
1ページ/82ページ




「それってさ、本当に好きって言えるの?」
「―――え、」

私は心底驚く。まさか、そんなことを言われるとは思ってもみなくって。

「だってさ、本当に好きだとしたらもっとアピってかないと。 見てるだけとかでいいなんて言わないよね?付き合いたいんでしょ?」
「…つ、付き合いっていうか、その、仲良くなりたいっていうか、」

思ってなくて、目の前の相手にしどろもどろに答えるしかできない。だって、本当に好きだからこうして相談しているのだ。

「とにかく好きだったら、なんとかしないと」

黙って神妙に頷いてしまう。
―――ちゃんと、わかってる。

「その、なんとか自分でしなくちゃなんないのは、わかってるんだけど…」
「わかってるなら、行動しなくちゃ。かなわないと思うから何もしない、なんて言ってないで。 そんなの本当に好きなの?って思っちゃうよ、私だったら」

相手の汗をかいているグラスが視界に入る。私はカプチーノを飲んでいた。視線は自然と降下して。

「…聞いてる?」
「き、聞いてるよ! それに私、何もしないなんて言ってない!」

―――ちゃんと、わかってる。

自分から動かなきゃ、何も変わらない。待ってるだけでは、駄目なんだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ