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□コンタクト
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強いて云うなら、別にあの子は対象ではなかった。

「―――カ、カプチーノでよろしいですか?」

椅子に腰掛け、ちょうどネクタイを緩めた俺は、その声に少し驚き、顔をあげた。先にはどこか緊張している面持ちの、かわいらしい女の子。いつものカフェ。アルバイトの子だろうか。

「―――はい。お願いします」

俺が常連客だからだろう。すでに注文のものはわかっているらしい。とりあえず俺は律儀にそう言って、この場をあとにするその姿を瞳にうつす。

ウェイトレスなんて、気にしたことがなかった。何度も、それは数え切れないほど、ここに足を運んでいるのにも関わらず。
さすがに俺だって行きつけの、単純にコーヒーだけを求めて通っているカフェで、女あさりなんかしない。だから、そこで働いている店員のことなんか、考えたこともなかった。

―――派手ではないが、控えめなかわいい子だ。

でも、普段相手にするような女とはまた違う。

そんなことを漠然と考えながら、カプチーノの到着を待つ。
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