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□天邪鬼の法則
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それ程愛しい人だったの。


彼を責めることは出来ないって分かってる。あたしの他にも、大事なものがあるってこと、わかってる。だからもう、いい。彼があたしを愛していたとしても、もうどうだっていい。

―――だって結局、彼はあたしの側にいることが出来ないじゃない。



一晩たっても、マサトを失った傷は少しも癒えない。もしかしたら、一週間後も、1ヶ月後も、一年後も、ずっと癒えないのかも。


「、っ」


全部、ぜんぶ、封じ込めてしまおう。お揃いの香水も、ネックレスも、指輪も、なにもかも。もう、思いだしたくなんか、ない。



20歳の冬だった。
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