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□たゆたう、
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仙人掌みたく、私はいつまでたっても、からからのまま。
だけど仕方ない。
だってそれが、彼なんだから。

彼の瞳だとか、髪、鼻、口、その襟足。そして笑み。ゆらゆらと頼りなさ気に揺れて、揺れて、私の記憶にすら留まってくれない彼。

蜃気楼。

暑い…。熱い…。

私を可笑しくさせる。
このどこまでも貫くような日差しが私に夢を見させているの?

でも、仕方ない。
私は彼を、見つけてしまったから。
巡り会って、しまったから。


「――――――…」

蜃気楼が、私の横を通過する。
生暖かい風。
彼の背中。
制服の白いシャツ。

どこにいってしまうの。
あぁ…、どうしようもなく、喉が渇く。

彼は、きっと太陽で、オアシス。

私をじりじりと焦がして、夢を見させる。

夢だとわかっていても、いつまで経ったって、目が醒めない。

するすると、彼は砂のように、風のように、そこら中から零れ落ちる。記憶から、隙間から。

どこにもいかないで…。

愛おしすぎる彼は、私の世界に、ちゃんと所属していて。
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