どんな退屈な日々だって、慧が居れば心は満たされる。



「けっい〜!!」

おれの目の前を歩く慧に勢いよく抱き着いたら、驚きの声が上がった。

「っ!………なんだ那智か。」
「なんだってなに〜?おれじゃない方が良かったの〜?」

わざとらしく悲しそうにしたら、純粋な慧は見て解るくらい動揺しだした。

「違うぞ那智!那智じゃなかったら当然だが怒鳴っていた所だ。」

だから逆におれで良かった……だなんて。

(どんな殺し文句だっつの。)

これだから慧には勝てないんだよ。

「ん?……どうした?那智。」
「うーうん。何でもないよ〜」

慧の前で手のひらをヒラヒラさせて、慧から離れようとしたら逆に引き寄せられた。

「?……慧こそどーしたの?」

いつもなら学校で過度なスキンシップすると慧に止められるのに。
考えが顔に出てたのか、慧はクスリと笑った。

「いや……那智が辛そうな顔をしていたから。」
「え…………?」

辛そう?え?おれが?
そんな事ないって言いたかったけど、言えなかったのは大好きな慧に隠し事をしてる後ろめたさがあるからかな?

「那智は何でも溜め込む癖があるからな。……少しは頼ってくれても良いんじゃないか?」

そう言うと、恥ずかしかったのか慧はおれの前をスタスタと歩き出した。
おれは赤くなって緩む頬が抑えられなくて、その場で暫く立ち尽くしてた。

「…………ほんっと……敵わないや。」



君にはわない
(おれが慧に頼りっぱなしなの、気付いてないのかな?)


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那智が乙女すぎてキモチ悪いとか言わないであげて下さい←


09/09/17 神崎乃愛


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