「……てめぇら俺様んとこ来てまでイチャついてんな!」
「別にイチャついてなんかないよ成っちょ。てか何?ヤキモチ?でも、兄さんはあげないからね。」
軽いウィンクをつけて方丈弟は言いやがったが、そうじゃねぇ。
ヤキモチは……多分そうなんだろうけど。
相手が違ぇっつの。
「ったく……何を言っているんだ那智。僕はまだ見回りがあるから離せ。」
「えー……………解った。」
さっきまでベッタリだったクセして、引き際はやけに素直。
方丈兄は方丈弟を置いて教室出て行きやがったから、残ったのはオレと弟だけ。
「………オイ……」
「んー?なにかな、成っちょ。」
ったく……ンな顔で俺様を見んなっての。
「………湿気ったツラすんな。」
「"しけった"じゃなくて"しけた"だからね?成っちょ。」
「今はンな事どーでも良いんでぃ!」
強く机を叩いたら、方丈弟が悲しみに眉を寄せやがるから本能のままに身体が動いてやがった。
「えっ、おい成っちょ?!」
「黙ってろぃ!……大人しくしてやがれバカ弟!」
「…………成っちょにバカなんて、言われたくないんだけど……」
方丈弟の身体を強く抱きしめたら、そうぞうしてた抵抗はなく大人しいもんだ。
「減らず口ばっかり叩きやがって。」
「………おっ…減らず口なんて難しい言葉、良く使えたね、成っちょ…。」
震える声はわざと無視してやって、そのまま抱きしめ続けた。
なぁ?叶わない恋なんて辛いだけだと思わねぇか?
オレにすりゃ幸せにしてやるよ。
たくさん言いたい事はあるけど、今日の所は堪忍?……違った、勘弁してやるっつの。
濡れた肩から伝わる想い
(気付いてないと思ったら大間違いだってんだ!)
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てんてんの口調解んないとか笑ろす。
難しいよ天ちゃん。
09/09/22 神崎 乃愛
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