何故か最近、那智を見ると平常心でいられなくなる。
鼓動が早くなって、まともに顔も見れない。
人はこれを何と呼ぶのだろうか?
「けぇーい?」
「あ、ああ………どうした?那智。」
「いんや……別に何でもないけど、慧こそどうしたの?会議中にぼぉーっとするなんて珍しいよね。」
――熱でもあるかのかねぇ?
那智の手のひらが僕の額に触れるだけで、その部分が熱を持って仕方ない。
「っ………大丈夫だ那智。皆もすまなかったな。会議を続けよう。」
「…………慧?」
那智の手のひらを払い除けて何時ものようにすれば皆、納得したようにまた会議が始まった。
一人、那智だけが眉を潜めているのが気掛かりだが仕方ない。
また後ででも謝れば良いだろうしな。
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「ッ………ねぇ、慧ってば!」
生徒会室から迷いなく出ると、後を追って来たんだろう那智の声が聞こえた。
「ん?どうした?」
「どうした?……じゃないっしょ。慧こそどうしたんだよ。」
どうした。とは多分、今朝の事を指しているんだろう。
「ああ……今朝は悪かった。……お前に見惚れていた。」
「は………」
正直に言えば那智は顔を真っ赤にして、僕も僕で自分の発言に驚いた。
(いったい僕は何を言っているんだ?)
実の弟に見惚れていたなんて凄く不自然な筈なのに、何故だかしっくりくる。
恋に気付いた瞬間
(この気持ちの名前は僕にはまだ解らない)
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恋だと気づく一歩手前って、可愛いですよね?(あれ、もしかして私だけ?)
09/10/02 神崎 乃愛
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