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□バスルームの執事(完結)
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「…坊ちゃん、先ほど心の広い紳士、と仰いましたが…あの方は、少年趣味で有名らしいですね。お気をつけください。」

「らしいな。自宅には使用人の他に、若い少年を住まわせているらしい。」

「さすが、お耳がお早い。」

くるくる、と優しく撫でながら背中を洗う。腕、胸を擦り、泡の浮いた浴槽に腕を入れてなおも洗い続ける。


「まあ、僕にとってお前ほど危険な者はいないがな。」

「どういう、意味です?挑発と受け取って宜しいので?」

セバスチャンは眉を寄せて手を止めた。シエルは得意げに笑っている。どうやらセバスチャンが腹を立てるのが、最近は楽しいらしい。

「挑発だったらどうする?この場で僕を襲うのか?」


シエルの手が浴槽に浮かぶ泡を持ち上げた。それをふわりと散らし、セバスチャンの頭に乗せた。

「予定が押しているんだろう?」

時間通りに進んでいないことを指摘し、浴槽の縁に腕を乗せて悠々と身を預ける。なかなかに偉そうで、生意気な様子だ。

「まったく偉そうに…。裸で言うことですか。」

執事が静かに毒づいた。溜め息をつくと、再び主人の体を洗い始めた。

「このような状況で、ここも私に洗わせるのですね。まったく…無防備な坊ちゃんには困ったものです。」

シエルは得意げだった。予定時間を過ぎている今、セバスチャンがいたずらをしてくる可能性は低いと考えたからだ。

セバスチャンは頭に乗せられた泡を払い、浴槽の中から手を抜いた。そして濡れた手で、シエルの顎を掴んだ。

「なんだ?」

シエルはわざと、セバスチャンに冷たい目線を向ける。
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