from Sebastian
□セバスチャンの妄想(完結)
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「……またこんなところで。」
坊ちゃんは、書斎の椅子でお昼寝をなさっていました。
昨夜の帰宅は0時を回っていたので、今はぐっすりお休みになっておられます。
仕方がありませんね。
起こさないようにそっと…。できるだけ振動を与えないように坊ちゃんを抱き上げて。
さあ、寝室にお運びしましょう。
長い廊下を、静かにまっすぐに。私の腕の中でうずくまる小さな主人を起こさないように、静かに歩きましょう。
私にもたれて丸くなっている坊ちゃん、いったいどんな夢を見ておられるのでしょうか。
坊ちゃんの寝室に着きました。静かにドアを開けて中に入り、静かにドアを閉める。すやすやと深い夢の中にいる坊ちゃんを抱えたまま、ベッドの方へ。
このまま下ろしてしまうのは、少々もったいない気が致します。失礼ながら、坊ちゃんのベッドに腰を下ろさせていただきましょう。
私は坊ちゃんを抱いたままベッドに深めに腰掛けました。そして坊ちゃんの頭に手を添え、優しく撫でました。
坊ちゃんの素直な寝顔は、日々の疲れを忘れさせてくれる優しい表情です。傲慢で生意気な姿とはまた違った一面ですね。
嗚呼…。こうしていると、考えずにはいられない。貴方の最期のときを。どのようにいただこうか、あれこれ考えてしまうのですよ。