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□愛の鎖(完結)
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外は、土砂降りだった。
雷を怖がる使用人が一人、急に降り出した雨を逃れて邸内に入ってきた。

セバスチャンは慌てて洗濯物を取り込みにいった。メイドの姿が見えないからだ。
庭師と同じように、雷の音を恐れて部屋に引きこもっているのかもしれない。

「まったく…干すのも取り込むのも、私の仕事ですか。」

手早くシーツを取り込んだが、雨に濡れてしまっている。また。洗い直しだ。


今日は、主との約束があった。
3時間ほど、二人きりの時間を設けてある。
セバスチャンにとっては至福のときになる…本人も、そう思っていた。

「ああ、もうこんな時間ですね。坊ちゃんとの約束の時間まで、あと15分とない。」

主に出すためのスイーツは、用意していなかった。本人がいらないと言ったのだ。
これは珍しい。

「つまり、スイーツの代わりに私との甘い時間を過ごそうというわけですね。」

期待、いや、妄想を膨らませながら執事が笑った。
何も持たずに尋ねていいものだろうか。

「そう、あれをお持ちしましょう。甘い香りのアロマキャンドルを。」

数日前に仕入れた、バニラの香りのするキャンドルがあった。甘党の主に喜んでもらおうという心遣いだったのか、香りに酔わせて雰囲気をコントロールしようという思惑だったのかは、定かではない。
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