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□"光の世界"へ
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雨上がりの午後。
煉瓦が敷き詰められた庭の一角に、雨により流されてきた土が溜まっている。箒を用いてそれをせっせと両サイドに避ける作業をしている最中、執事は思わず表情を緩めた。

「嗚呼、いけませんよこちらに来ては。足が汚れてしまいますよ。」

言っても聞かない小さな生き物に対して、優しく声をかける執事。午後の癒やしの一時。
濡れた毛の汚れが衣服につくのも気にせずに、箒を壁に立て掛けて猫と戯れる。こんなに気の抜けた顔をするのは、彼女の前でだけ。

「頬擦りをしたいところですが、それはさすがに…。……ん?」

膝に乗せていた黒猫を下ろすと、執事はまっすぐに門へと向かっていった。


「伯爵に速達のお手紙です。」

「それはご苦労様です。お気をつけて。」

配達人から受け取った手紙には、あの紋章が。

「やはり来ましたか…。早急に坊ちゃんにお見せしなくては。」


執事は庭掃除を後回しにし、主がいるであろう書斎に向かった。


コンコン、と静かなノック。入室の断りの後扉を開けると、案の定寝息をたてている幼い主人の姿が見えた。
思わず溜め息をついてしまったセバスチャンは、急ぎの用のためシエルを起こすことにした。
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