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□嗚呼、蒼い君
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…
……
起きない。
あれから一時間ほど経っただろうか。
トリの、人工物かと思わせるほど整った眼は
全く開く気配を見せない。
ぴくりともしない。
肩にもたれているトリからは、酷く酒の匂いがする。
「…刺すぞ」
小さく呟くと、
「ん、ぅ…」
と本日二回目のうなり声を上げる。
すると、肩にあったトリの頭はするすると降下し、
私の腿に乗った。
言うなれば膝枕。
先程より顔がよく見える。
なので観察してみた。
酒のせいで真っ赤に紅潮した頬、
荒い息。
よっぽど酒に弱いらしい。
あの強気で喧嘩っ早い奴が。
これほど弱々しくなれるのか。
今思えばこの頃から
おかしくなっていたのかもしれない。
悪戯してやろうと思った。
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