□嗚呼、蒼い君
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頬を指でなぞると、
ピクッと肩を強ばらせた。

面白い。

指先を降下させ、
首筋に指が触れると。

「…ん…ッ」

小さく鳴いた。

ひびがはいる理性。

もっと、もっと。

この指だけでなく、この舌で、
この声で、
この身体で、
お前を甘美な刺激に溺れさせてやろう。

その鳴き声が喘ぎ声に変わる頃、

私も快楽に満ちるだろう。

そう思った。

その時、

「う、ん〜…」

瞼がゆっくり開く。

あの程度で目を覚ましてしまうのか。

蒼空のような蒼い瞳がはっきり私を映し、
緑と蒼でエメラルドのように光った。

「…!
れ、レオン!?
何でテメェが…っ!?」

がばっと起き上がり、第一声が、これ。

この鳥頭、記憶に残ってないらしい。

「貴様が私にすがってきたのだろう?」

わざと笑みを浮かべると奴は目をきょろきょろさせ、頬に汗を垂らす。

分かりやすい。

明らかに動揺している。

「知るか、んなこと覚えてねーよ!」

「ふん、その鳥頭は忘れているだろうが、
貴様の身体はよく覚えているはずだ」

「な…!?」

そんなことはしていないが試しに言ってみたら、
どんどん顔を赤くさせる。

面白すぎる。

「〜〜ッ、
ふ、ふざけんなっ!
何したんだよ!?」

「さあ?
早く戻って後始末したらどうだ?」

何の後始末かは知らないが。

トリは腹を抱えながらものすごい勢いで走り去った。





いけない。

敵のトリにこんな想いを抱いては。

いつか、本当にしてやろうか。

嗚呼、蒼いお前は何を思った?

あの紅潮した貴様の顔、満更でもなさそうに見えたのは私だけか?

今日から「トリ」から「お前」に昇格だ。




fin
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