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□嗚呼、蒼い君
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よたよたと歩み寄る姿は雉でも隼でもなく、
ペンギンにしか見えなかった。
力無く、自我すら持たないような瞳。
いつもの姿からは考えられない。
奴は私を知り合いと認識したらしく、
半開きの眼で私を見ると、
「んむー…」
と変なうなり声を上げて私の胸に寄りかかってきた。
なんなんだコイツは
そう思うと同時に
その儚げな姿に
独占欲が激しく揺さぶられた。
仕方なく近くのベンチに座らせ、
私も隣に座ると
このトリは安心しきって眠りに堕ちた。
鳥頭は敵の顔すら忘れてしまうのか。
内心ため息をついたが、さほど急いでいる訳でもない。
目覚めた頃、からかってやるのも面白い。
私はしばらく様子を見ることにした。
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