□嗚呼、蒼い君
2ページ/4ページ

よたよたと歩み寄る姿は雉でも隼でもなく、
ペンギンにしか見えなかった。

力無く、自我すら持たないような瞳。

いつもの姿からは考えられない。

奴は私を知り合いと認識したらしく、
半開きの眼で私を見ると、

「んむー…」

と変なうなり声を上げて私の胸に寄りかかってきた。

なんなんだコイツは

そう思うと同時に

その儚げな姿に
独占欲が激しく揺さぶられた。


仕方なく近くのベンチに座らせ、
私も隣に座ると

このトリは安心しきって眠りに堕ちた。

鳥頭は敵の顔すら忘れてしまうのか。

内心ため息をついたが、さほど急いでいる訳でもない。

目覚めた頃、からかってやるのも面白い。

私はしばらく様子を見ることにした。





++
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ