パラレル
□硝子宵道
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ゆらゆら……
ビートロの中を舞う尾鰭…
優雅に泳ぐその様はどんなに美しかろう…
しかし…そんな君はビートロの中でしか生きられない
それはきっと自分も同じ事…
この広いビートロの世界にはもう一匹金魚が居たのに…
この前、その世界から抜け出そうとしたのだろうか…
満たしていた水を蹴り世界から抜け出した白い金魚
その後には死が待っていると言うのに……
お前を待っているものが居たのに……
どうして……?
「貴方も僕も一人ぼっちですね」
美しくも冷たいビートロにそっと指を這わせるとその細く長い指に引き寄せられるように赤い金魚が近付いた。
外の世界に憧れた白い金魚も…
この世界でしか生きられずにゆらゆら泳ぎ回る赤い金魚も…
「…君達は僕に似てますよ」
そう…
僕もここ(遊郭)でしか生きられない。
まるで悲しく、切ない金魚のようだ…
「ねぇ?君は幸せですか?美しく生きられるなら……。」
問い掛けた金魚は肯定か否定か分からなかったがポチャンと一度尾鰭で水面を叩いた。