アニマル企画

□未定
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「はひ…またツナちゃん、残してるんですか?」

「うん……全然食べていないみたいなの。ツナ君、もう少し食べよ?体壊しちゃうよ…」

寂しいよ………

ウサギは寂しいと死ぬなんて………嘘みたいだけど嘘じゃないって事を身を持って痛感した一匹のツナと呼ばれるウサギ。

此処は並盛町の商店街に程近いペットショップ。
並盛中学校の通学路にも当てはまっていて人通りは少なくない。

見慣れた光景………常日頃のこと

学校帰りの生徒がショーウインドーの動物に目を奪われ、足を止めれば硝子に手をピタリとつけて「おいで。」などと声を掛ける。それに動物達も近付いて硝子をペロペロと舐めたりして答えるものだから黄色い声を上げ、ほんの少し……時を過ごすのだ。しかし飼う気は無くて…名残欲しそうに手を振っては帰っていく生徒。



動物達は人間の気持ちに敏感だ。

だから………それがまだ幼い者でさえも感じ取る。

「あの子は自分のパートナーとなるべく人ではない」

…………と。

たいていペットショップの店員がショップの動物に名を付けることはないのだが、ツナは特別だった。


もうこのショップに来て一年には満たないものの大分時が過ぎていた。ただでさえ、動物の成長とは早いもの。出来ることなら早くきちんとした飼い主を見つけてやりたいと店員の笹川京子、三浦ハルの二人は考えていた。

だが、今1番問題なのは飼い主の宛てを探すことじゃない。3週間程前からツナは断食状態………つまりは餌を口にしようとしないのだ。

大好きな林檎も皮の部分をほんの少しかじっただけとか、キャベツは芯に歯形がうっすら付いた程度。ドライフードに関しては一粒口に含めば良い方だ。
「やっぱり、雲雀さんのことでしょうか……」

「………ハルちゃん」

ツナという名は彼女達が付けたもの。その名を動物が覚えてしまっては飼い主が付けた名を認識出来なくなる恐れもあるだろうことからたいていは付けないものだが、ショップに長い事身を置いたツナにはその分愛着もある。ショップに来た日付で各動物を呼んでいたが店長自体も『動物は物じゃないと』と嫌っていたために許しを得る事ができた。

そう言うわけで27日にやってきたことからツナと名付けられたこのウサギ…元々小柄で痩せてはいたが、最近またそれが顕著に現れていた

『雲雀さん……』

ツナが見上げた先にあったもの………

“飼い主募集”

の貼紙


そこには艶やかな黒の毛並みが目を引く黒猫の姿


 

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