紫隻鬼愛

□メリーさん
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「私、メリーさん。今、あなたの家の前にいるの…」
「………!」
「私、メリーさん──今、あなたの後ろにいるの」
「………っ!!」



男が恐怖で動けなくなったところで、その話は終わった。夏といえばそう、怪談!な感じでたまたまホラー特集がテレビでやっていたのだ。


──くだらね、と政宗は思った。今どきメリーさんで怖がる奴がいるのかどうか。

「Ha!こんなんにビビる奴がいるかってんだよ、なぁ元親」

そう言って、泊まりがけで遊びに来ている友人の方を向く。


「だ、だよなぁ」

そう答える友人は、ガタガタと音が聞こえるのではないかと思うくらい震えていた。ただでさえ白い顔がこれ以上ないほど白くなっている。

「…お前、まさか怖いのか?」
「!ここここ怖いわけねぇだろっっ!!」

俺の友達はニワトリだったろうか?

「だってお前すげぇ震えて」
「ばっどこがだよっ!ふ、震えてねぇだろっ!!」

これで震えていないのなら、世の中に“震える”という単語は存在しないだろう。政宗はつっこもうと思ったが、元親がキレそうなのでやめた。




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