紫隻鬼愛

□にきび
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「あ、チカちゃんにきび」

前の席から元親の顔を覗き込んで佐助が言った。

「ああ、なんか朝起きたらできてた。ちょっと痛ェんだよ」

元親は軽く顔をしかめながら答える。担任が学校最弱の家康だからSHRの話など聞く気の無い二人(酷い)。

「左頬だから〜“想われ”だね」

佐助はにこにこと何故か楽しそうに言う。

「あ?なんだよ、それ」
「あれ?知らない?“想い、想われ、振り、振られ”って言うじゃん」

言いながら元親の右頬、左頬、額、あごと指さす。

「にきびの位置でね、分かんの」
「へ〜んで俺は“想われ”てんのか」

いかにも胡散臭いが、すっかり信じた元親は照れたように笑った。

「そ。例えば〜…お、いてっ」
俺様とか、という台詞は徳川の名簿角攻撃によって遮られた。




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