永遠の小夜曲(セレナ-デ)

□13日『天使』
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「馬鹿だな。友達を置いて、帰れるわけない」
一緒に進む。俺は千尋を置いていけない。
この状況は“異常”だ。きっと魔術が関係しているだろう。『魔術師』か、他の何かか。
だが、誰がいたとしても、千尋を置いていけるわけがない。大切な友達なんだから。
「『友達』って私がそう思ってると思う?」
「えっ?」
「私が、アンタを『友達』として認識してるわけないでしょ?それでも行く?ついてこれる?」
千尋は冷たい視線を送る。
「…ついて行くさ。だって、お前は俺の事を友達だと思ってくれてるだろ?」
「…ふふふ…違うわよ、バカ」
「え?」
「…親友よ、親友」
千尋は笑みを浮かべる。
「全く、俺が『帰る』つったらどうするつもりだったんだよ?」
「どうもしないわよ。いいからさっさと行くわよ!」
千尋は階段を上がる。
「オーキードーキー」
階段を登り、二階に着いた
「ひゃあっ!」
千尋の叫び声が聞こえた。
「どうした!?」
返事がない。暗い辺りを見渡す。人影のようなものがあった。千尋…ではないようだ。体格的に。
だが、とりあえず人だ。何か話が聞けるかもしれない。
「すみませ〜ん……」
返事がない。スルーされた。もしくは自分が呼ばれている事に気付いてない。

嫌だな〜、話すの。もうスルーしようかな?
なんか今日はすこぶる気分が悪い。まるで、“何らかの干渉”を受けているように。
とかわけわかめな事を考えてみる。
だが、まあ、それはないだろう。気分を悪くする程度の魔術なんてショボ過ぎる。
いや、もしかしたら大きな魔術から溢れ落ちた副産物なのかもしれない。
『魔術師』への警戒心が強くなり過ぎている。落ち着け、俺。
あと嫌だけどやらないといけない事を目の前にすると、関係ない事に頭が回るよね。
まあ、人に話したくないけど話さないといけない俺が言うんだ、間違いない。
はあ、話すか。仕方ない。話したくはないんだが、仕方ない。話したくは(ry
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