永遠の小夜曲(セレナ-デ)

□13日『天使』
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「こほん……あのー!そこの人!」
近付く。早く気付けよ!気付いてくれよ!
ああ、もう仕方ない。肩を叩けば気付いてくれるだろう。
「すみません!!」
人の肩に手で軽く叩いた。
途端、人と触れた感覚が消える。
「っ!?」
一瞬理解できなかったが、目が慣れてきて、何が起こったか理解できた。
立っていた筈の人間は倒れていたのだ。
俺が叩いた事で倒れたのだろう。だが――
「どうして…?」
「星斗…こっちにも…」
千尋の声。声の方を見ると、人が倒れていた。
「とりあえず、大丈夫な人を探すぞ」
見えづらいが、千尋は頷いたように見えた。

二階を探したが、倒れている人か、立って気を失ってる人しかいなかった。
そして、俺達は三階へ登ると、一ヶ所だけ明るい所があった。俺はそこに近づこうとした。

「よう、星斗」
暗闇から声がした。
「ずいぶん遅かったじゃないか」
聞き慣れた声だ。
「いつもみたいに居眠りしてたのか?」
昔から少し嫌な奴で、でも俺の数少ない友人だった。
「伊達!伊達、智輝っ!」
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