永遠の小夜曲(セレナ-デ)

□13日『天使』
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伊達智輝がそこにいた。
「そう人の名前を叫ぶなよ。別に叫ばなくても聞こえてるぜ。そんな事より、いいだろこの校舎。どうだ、面白いだろ?」
「お前がやったのか?」
「正解、って言ってやりたい所だが残念。オレは“指示しただけ”さ」
「てめえ!!」
俺は伊達を睨みつける。
「なに怒ってるんだよ?オレはただ結界を張らせただけさ」
「結界だと?」
「魔術だよ、魔術。己の魔力を使い、世界に影響を及ぼすって奴さ」
「お前が魔術を使っただと?」
「あのさ〜、言ったろ?オレはただ“指示しただけ”で、行動はしてない」
「なら誰に指示した?」
「なァ、知ってるか?世の中には『天使』って奴がいるんだ」
「『天使』、だと?」
『神使』なら見た事あるし、鞄の中にいるんだが。それとは違うのだろう。
「まあ、信じられないのもムリはないか。オレだって“結界(コレ)”を見るまで信じられなかったんだ」
結界。詳細は不明だが、人の意識を奪う魔術のよう。
伊達の言う『天使』とやらが、それをやった。
「どうして?」
「どうして?契約したんだよ?『天使』と」
「違う!!」
伊達はぴくりと動く。
「羽衣、悪い」
俺は呟くようにそう言って、鞄を落とす。
「どうしてお前が結界(こんなこと)をしやがったんだって聞いてんだよ!!」
俺は伊達の元まで走る。

「エンジェル!!」
伊達は叫ぶ。すると伊達の背後から何かが光る。
咄嗟に首を傾けたが、何かが頬を掠めた。
バランスを崩し倒れたかけるが、転がる事でダメージを抑えた。
だが、そんな事はどうでもよかった。
「今、エンジェルって…」
「うん?意外と余裕あるな?せっかくだ。出てこいよ」

現れたのは、昨日会った女性、エンジェルさんだった。
「別に驚く事もないだろ?一度会っただけなんだからさ」
雲が晴れて校舎に陽が射す。
「私が、天使です」
エンジェルさんの指輪が光った。
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