永遠の小夜曲(セレナ-デ)
□13日『天使』
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「智輝」
エンジェルが止める。
「なんだよ?オレを止める権利がお前にあると思ってんの?」
「申し訳ありません。ですが、第三者の気配を察知しました」
「「なっ!?」」
千尋か!しまった!忘れてた。てか逃げてなかったのかよ!
汗が傷口に染みる。氷は溶けたようだ。
まずい。まずい。まずい。千尋が危険だ。危険だ。危険だ。
「……残念。バレちゃった」
後ろから千尋の声がした。
駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ。
「ま、まさか…」
伊達の怯えた声が聞こえた。
逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ。
「そう、そのまさか。じっくり聞かせてもらったわ」
闇の中から千尋は現れた。
「なんでお前が…!?まさか、お前が呼んだのか!?」
「馬鹿っ!なに出てきてんだ!?」
「星斗は黙ってて。それより、星斗に教えてくれるんでしょ?結界のヒ・ミ・ツ」
「ふざけるな!お前が邪魔しなければ…!」
「っ!…そうだ、千尋。お前に天使の力を見せてやるよ!やれ、エンジェル!あの女を殺せ!」
「了解しました」
エンジェルは手を前に突き出す。それは、千尋に向けられた物だった。
「逃げてっ!」
千尋はそう言った。
「逃げるのはお前だろ!?」
だが、千尋は何故か逃げる気はない。確実に間に合わない!
「千尋!」