永遠の小夜曲(セレナ-デ)

□プロローグ『始まりと終わり』
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夢を見た。
とても、長い。
内容はほとんど覚えちゃいない。
だが、悲しかった。とても。
それだけは覚えている。
目の辺りを触ると、涙で濡れていた。枕で涙を拭き、天井を見上げた。

俺はいつもより早く起きた。いつもは登校時間8時半に対し、8時という酷い時間に起きるのだが、時計は7時11分だった。
「だるい…」
ぼそり、と呟く。
今日はやけに頭が重い。とにかくだるい。お腹が痛い。汗が大量に滲み出る。
いつもの事だ。何故なら今日は学校。俺の嫌いな学校なのだ。
「…寝るか」
布団に潜り、瞼を閉じる。

どんどんどん、と部屋の扉が叩かれた。
「星斗(せいと)!起きなさい!」
扉の向こうで、姉貴が俺を呼ぶ。
「うるせ!もう起きてるつーの!」
どたばた、と姉貴が去って行く音がした。仕方なく布団から出た。

「…ふん。見ているのは分かっている。覗き魔は嫌われるぞ」
そう言いながら、部屋に散らばる制服をかき集める。
「『地球の観測者(スターゲイザー)』。俺の行く末を、いや、俺の『能力(ちから)』の行く末を見たいのだろう?」
上着を脱ぎ捨てる。
「一応、説明しておこう。“俺の軌跡(これ)”を見ているお前らにも分かりやすく、な」
ズボンも脱ぎ捨てる。
「俺の名前は武藤星斗(むとうせいと)。三星学園高校の高校三年生」
Yシャツに腕を通す。
「というのは表の顔で、本当は“神”を殺す存在なのだ。まあ、お前は知っていたか」
“神”とは、『地球の観測者(スターゲイザー)』と共にある、全知全能の存在。
所謂、唯一神であり、誰もが無意識の内に“神”を信仰しているのだ。
いや、全ての神の原初が“神”であり、信仰している神が“神”でなくても、“結果的”に“神”を信仰してしまうのだ。
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