永遠の小夜曲(セレナ-デ)

□11日『夢』
1ページ/13ページ

「あ〜あ」
時計を見る。10時。午後。
「星斗!起きましたか!?」
羽衣が心配そうな顔をして俺の目の前に立つ。
珍しく怒っている様子はない。何故だろうか?
「ああ。一応……げほっげほっ」
咳をする。
「あ、なんでだ?なんで咳してんだ?俺」
「風邪引いたんですよ」
ああ。そうか。風邪か〜。

「って、大変じゃねえか!…げほっげほっ」
俺は上半身を上げる。だが、体の一切に力が入らない。
「星斗!安静にしてください!!」
「だ、だが――」
「今さら動いても何もできません!」
「――っ!」
「あっ…すみません。今の言い方は悪かったですね」

「いや、いい。気にしてない」
まあ、嘘だが。
「それと、昨日はすみませんでした」
「あ?何が?」
「昨日、星斗に無理をさせて」
「無理?」
……。
……。
……。
なんだっけ?というか昨日、俺、何してたっけ?
「星斗をその鍛えようとして」

筋トレの事か。確かにきつかったが、まあ大丈夫だろう。
「風邪気味の星斗に無茶をさせてしまって」
いや、待て。今、体が上手く動かないのって、筋トレのせい?
あるあ…あるな。
「私のせいで貴重な一日を――」
「大丈夫さ。一日くらい休んでも。毎日行動してたら体が幾つあっても保(も)たないからな。丁度いいっちゃ丁度いいさ」
「さて、じゃあ――」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ