永遠の小夜曲(セレナ-デ)

□14日『魔術』
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水滴が落ちる音。ぴちゃんぴちゃんと定期的に聞こえる。
目を開くと暗闇。目を凝らすとその中に人がいた。
「……」
言葉を放とうとするが、喉がそれを拒否した。
少しずつ、夜の闇に目が慣れる。そこにいた人は少女だった。
後ろを向いており、こちらには気づいていない。
「……」
やはり声は出せず、ただ少女を見つめる。
少女の視線の先に、倒れた人間がいる事に気づいた。
暗闇で顔は見えないがそれは男だった。少女はその男を見ていた。
俺は少女の足元に水溜まりを見つけた。音の正体はこいつか。
となると何が水溜まりに落ちているのか。俺は少女を凝視した。
どこか遠くに雷が落ちた。雷から生じる僅かな光が少女を照らす。
その時、少女の手に、銀色に光る何かがあった。白い剣だ。
どこか魅力的な剣で、俺は惹かれた。だが見てしまった。
それから赤い液体、即ち血液が落ちていたところを。
「ひっ!」
今までに出なかった声が途端に出る。
少女はこちらに気づき、ゆっくりとこちらを向いた。
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