永遠の小夜曲(セレナ-デ)
□15日『崖』
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青い空。白い雲。緑の草原。
余計な物は何もない。
自然な平和。終わらない平穏。
俺が求めていた景色。
だが、ある物がない。
「人がいない」
人だけではない。
猫。
鳥。
蛙。
あらゆる生命体がいない。
植物だけ。
だが、植物だけの自然などありえない。
俺だって知っている。
植物には受粉が必要だ。
受粉をするのは虫だ。
その虫すらいない。
そう。
つまりこれは――
「これは、偽物だ!」
終わらない平穏が、偽物の平穏が崩れていく。
地面も崩れて、立つ場所がなくなって――
何故か少女が現れた。
口を開ける。
声はない。
ひ
こ
ぼ
し
を
や
め
ろ