本
□僕と絶交しませんか。
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アルト、シェリル
普通の学生設定。
中学1年生、春。
初めてお前に出会ったのは教室。
偶然席が隣でよろしく、って笑顔で言い合ったのをまだ覚えてるだろうか。
今に比べたら幼さの残る顔だったけど、その笑顔がすごい好きだ。
中学1年生、夏。
帰り道が偶然一緒だったから、オレの部活が休みの時はよく一緒に帰ってた。
お前が暑い暑い言うから、下敷きであおいでやったらすごく喜んでいた。
そんなに喜ぶなら、いつまでもあおいでもいいなって思った。
中学2年生、春。
また偶然同じクラスになった。
席は隣じゃなかったけど、オレはすごく嬉しかったんだ。
また同じクラスでお前が授業を受ける姿や友達と話している姿を見られるんだなって思ったら、自然と口元もゆるんでいた。
中学2年生、夏。
「暑いわね…」
「あおいでやろうか?」
「ううん、私がアルトにあおぐ!」
そう言ってオレの下敷きを取ってぶんぶん振る。
残念ながらお前のおこす風は的を外れて、オレに全く涼しい風は来なかった。
でもすごい嬉しくて、暑さなんてぶっ飛んでた。
「私たち、中1の時も同じようなことしてたわね」
「ははっ、そうだな」
「来年も再来年も、またこんなこと出来たらいいな」
「あぁ、」
「どっちかが、誰かと付き合い出したらおしまいだけど!」
ここでお前が少しでも悲しそうな顔をしてくれてたら、オレもまだ期待してたかもしれない。
でもお前は悲しみ一つない満面の笑みでその言葉を言うんだもんな。
お前の笑顔はすごい好きだけど、今だけは悲しそうな顔をしてほしかった。
「そうだな」
「それまではいい友達でいましょうね、アルト」
「あぁ、シェリル」
僕と絶交しませんか。
(友達以上になれないのなら)
報われないアルト(ρ_;)