□捕まえた
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「素敵だったな…。」


「?どうしたんだ、それ。」


うっとりと呟く彼女の手には小振りなブーケが咲き誇っている。


「友達の結婚式だったの。」


いいでしょ、と華奢で白い手はブーケをもてあそんで彼女は満足気に微笑んだ。


「まさかキャッチ出来るなんて思わなかったわ!」


ブーケをキャッチした人は次に結婚出来るというから、と付け足すとアルトは小さく笑った。

「他の女を押し退けて取ったんじゃねぇの?」


「失礼ね!アルトのくせに!」

すぐ横にあったクッションを投げ付けるも、容易く受け止められてしまった。





正直、怒ってる彼女もすごく可愛く綺麗に見えるのは、俺がベタ惚れだからだろうか。

と、心の中で苦笑しながら、アルトは歩み寄って、ぽすん、とクッションを元の位置に戻す。









「…なぁ、お前もブーケ投げてみねぇか?」

同じ高さの双眸にとらわれて、脳がフリーズしてしまった。



(それは、つまり)


何も言えずにいると俺の横で、と彼が付け足した。




捕まえた





(ブーケのジンクスは本当らしい。)



(彼の手の中にある小さな箱が、彼女に渡されるまであと2秒)






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