本
□僕はあの場所から動けずにいる
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二人は幼なじみ設定＊
アルトとブレラは友達です。
「シェリル、」
ずっとずっと好きだった
「あ、アルト…」
いつから、だなんてわかんねぇけど
「その、どうだった…？」
弱々しく尋ねる彼女。
「あぁ、待ってるってさ。」
「…そ、そう…」
シェリルの笑顔が好きだった
「…緊張するー…」
「大丈夫だって。」
シェリルの優しさが、歌が、生き方が、好きだった
「…んー…アルトー……」
「なんだよ、」
「うー……緊張……」
「はは、大丈夫だって言ってんだろ？」
どんなときも、
おれを笑顔にしてくれた
「…じゃあ緊張しねぇおまじない、」
─ﾊﾞｼｯ
「……った！」
そのすべてが、
好きだった
「なにすんのよ！」
「だからおまじないだっつってんだろ」
「そんな手荒なおまじないなんて、頼んでないわよ！」
シェリルの笑顔が、俺だけに向いてくれればいいのにって、
何度思ったかわからないくらい
「でも効き目抜群だろ？」
「…ふふ、そうかも。」
シェリルのことが、大好きだった
「………アルト、」
「ん？」
「…と、途中まで、一緒に行かない？」
「ばーか、俺が行ってどーすんだよ。」
けど、俺の大好きな人は
俺の友達のことが好きで
「お願いー！」
「駄目だー。」
そんな気持ちに気づいたときには、
もう遅かったんだ。
「…だってー…」
「だってじゃねーよ。」
「…怖いー…」
「怖くねぇさ。」
死ぬほど胸が苦しいのに、応援してる"フリ"をして、
それしか出来ない自分自身に俺は心底腹が立った。
あいつのところに行くなとか、おれはお前が好きだとか。
そんなことを言える勇気があれば、こんな長い片思いをしないですんだのかもしれないのに。
「言ってみなきゃわかんないだろ？」
「………そっか、そうよね。」
「ったく…、いつまで弱気になってんだ？
お前は誰だ？」
「え…？」
「銀河の妖精、シェリル・ノーム。だろ？」
嗚呼、彼女への励まし方も上手くなったものだと、自分でも思う。
「当たり前でしょっ。」