Sweet
□俺には必要
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それを聞けへんまま数日が過ぎた。
光とはよう話すんやけど、なんや聞けへんかった。
練習中にぼーっとしとったら光が来て言うた。
「今日のドリンク、やたら味薄ない?」
いややわまたうち、水多くしてしもたみたいや。
「最近暑いやんか、せやから水多くしたけどやっぱ口に合わへんよね…ごめん」
「なんでそないにしょげとるんや」
「やって……、うち最近思うんや。何でうちみたいな奴が毎年全国行くような部のマネージャーやってるんやろって」
はぁ、とまた溜め息をついた。
ほんまに、いつもいつも迷惑ばっかりかけてる。
いっそ誰か別の人に変わった方が……
せや、うちなんかおらん方がええに決まってる。
そう思ったら泣きそうになった。
「……あき?」
「……ごめっ…。何でもあらへんから…」
こぼれそうになった涙を必死に戻して1回だけ鼻をすする。
すると光は何も言わんとうちの手首を掴んで歩き出した。
「え…ちょ何…」
「ええから、黙ってついてきーや」
光は何一つ教えてくれずに強引に手を引き続ける。
そのままテニスコートから出ようとした。
「ちょちょちょ、お二人さん、どこ行くん!?」
部長の声がして、それに光はすかさず
「便所っスわ」と返した。
((((……マネージャーつれて便所行く奴があるかい))))
部員たちは呆れていたが、構わず練習を続けた。
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