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□キスしよっか
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「す…好き…に決まってるじゃない…」


「よかった」


いつもと違う、と思った。


いつにも増してなんだかSっ気がたっぷりなくせに、なぜかその顔は優しそうだった。


でもやっぱり"好き"。
それ以外なかった。


「……涼太」


「なんスか?」



「さっきの…もう一回言って…」

え?という顔をされたが、そしてふっと笑いながら



「…好き」


「うん」


「好きっス」


「うん」


「みくが好き」




好きといわれる度に顔が熱くなる。けど、涼太は何回も好きと言ってくれた。こんな状況なのにこの上なくうれしかった。


「嬉しい。あたしも…大好き」



ちょっと照れくさそうに笑う涼太。



「あの、さ、手首痛いからそろそろ離して……?」



「あっああっごめんっス!!」

手を押さえつけていた感覚が消える。

でもまだこの状況だというのに抵抗する気も起きなかった。むしろ、逆だった。



一呼吸おいてから言った。



「ねぇ涼太……キス、しよっか」

涼太の顔に向かって両手を伸ばした。まるで受け入れるかのようにして。



涼太は何も言わずに笑いかけ、ゆっくり、覆い被さるようにしてあたしの唇を塞いだ。


角度を変えてはキスを繰り返す。

キスって、こんなに気持ちよかったっけ……。



たまにできる隙間から吐息が漏れた。


「…ん、ちょっと…苦し…っ」



あまりに長いキスで苦しくなり、荒い息のまま顔をそむけると不意に名前を呼ばれた。



「みく、俺を見て?」



目を向けると優しい笑顔があった。なんて綺麗な顔立ちをしているんだろう。

いつも見てるのに、改めて認識し直す。そんな綺麗な目で見つめられたら、そらせなくなる。

「すげーかわいい」

「涼太は、かっこいい…」

「はは、知ってるっスよ」

「…ばか……んっ」



再びを唇を塞ぐ。

もう止まりそうになかった。最初はあたしも全然乗り気じゃなかったのに。

だめ…、気持ちいい…。



そのままあたしたちは、キスに溺れた。









end.
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