PLAYERS
□これで元気を出して
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こうして見るとやはり身長が高すぎる。
2mを越えているなんて、そうそういないし…。
そして強豪校のバスケ部の格好をしていると余計に威圧感を感じた。
彼のプレーを見たことはないのだけれど。
「んじゃあ戻るんでじゃーねー」
「あ、うん。バイバイ」
紫原君は入ってきた扉と同じ扉から出て行こうとしたところではっとして振り返った。
「あ、そうだ。これあげる」
「え?」
紫原君が差し出したのは小さなチョコレートだった。それをわたしの手のひらに乗せた。
「あ、ありがとう。でも何で?」
「うーんなんて言うのかな〜…さっきここに来たときに何かよくないことでもあったみたいな顔してたから、かなぁ。だからこれで元気出してよ〜」
「え………ありがと!」
まさかそんな風に思ってくれたとは考えていなくて、ちょっとびっくりした。
いつもは本当に変な人だなぁと思っていたけど、意外と優しい人なんだと思った。
「うんじゃ今度こそじゃーねー神崎みくさん」
そう言うと紫原君は振り返ることなく体育館に帰っていった。
「って…今、わたしの名前…」
わたしはうつむいてふっと笑った。
「覚えてないとか言って……きっちり下の名前まで覚えてくれてるじゃない……」
それがわたしだけであったのか他のクラスメートもであったのかわからないけれど、なんだかうれしいと感じた。
顔を上げて外を見るといつの間にか雨は止んでいて太陽の光がまぶしかった。
end.