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□初めて見る君の素顔
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「返すのだよ、みく。これでは逆に見えない」



よこせとばかりに手をバタバタとさせる真ちゃん。



それがなんかすごく愛着わいてきて、ふと顔を見た瞬間にちょっと胸が高鳴る。




普段、眼鏡かけてないところとか見たことがなかった。


だから、かけていない真ちゃんを見るのは実は初めてで、やっぱり人間は眼鏡1つで変わるものだと思った。




いつもかっこいいと思ってたけど…眼鏡してないのも、すごくかっこいい、と自然と感じてしまい、いじる気も少しずつ失せてしまう。







「………見えなくていいよ。だから、目、閉じて」



「???」



真ちゃんは不思議そうな顔をしたが、ちょっと間をあけて目を閉じようとした。





しかし、閉じきる前にあたしは何も言わずそのままキスをした。



真ちゃんはびっくりしたのか、微妙に身体を強張らせた。でもそのあたしの突然の行動を拒んだりはしない。




軽いキスのつもりだったから、あたしはすぐに唇を離して真ちゃんに笑いかけた。



「ゴメン、急にしたくなっちゃった」



「お前はいつも唐突すぎるのだよ」



「だって、眼鏡してない真ちゃんがかっこよすぎたから」



「…!?…何をバカな…早く返すのだよ」



「やだー!」





駄々をこねるようにからかいながら言うと急にあたしの背中に片手を回して強い力で抱き寄せられた。


頭と背中をおさえてソファーの上で抱きしめられる体勢になる。



「きゃ…し、真ちゃん?」




いつもは絶対しない行動に、少し疑問を感じつつも、ドキドキしてしまう。




「これじゃあ顔見えないよ」



そう言うと、いつもよりずっと動揺した声色で言われた。




「お前が悪いのだよ、みく」





その言葉と声から真ちゃんの顔が想像できた。

さぞかし真っ赤な顔をしているだろう、と。


そう考えて、幸せな笑顔がこぼれた。







もう眼鏡返したくないかも、とまた悪戯心がわいてくるのであった。











end.
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