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□君の優しさに触れた
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ここでマフラーとか貸してくれたりするのかなとかちょっとドラマチックな考えを浮かべたが、黒子君がそんなことするわけないと思い、そんな考えを消す。




すると黒子君はポケットの中をゴソゴソとあさり、何かを取り出した。




「手、出してください」



「??はい」



疑問に思ったが、言われたとおりに手を差し出すと、急にすごく熱を帯びたものを握らされた。




それはカイロだった。
使い捨ての簡易カイロ。





「これ、あげます」



「いいの?」



「はい」



即答する黒子君に少しだけ笑顔を見せて"ありがと"と伝えた。





でも、握らされたときに触れた黒子君の手が凄く冷たかった。


それが気になって、"大丈夫?"と聞くと



「僕は今日部活もあるので大丈夫です」



部活があるから大丈夫の意味がよくわからなかったのだが、とりあえずそっか、と言い黒子君がくれたそれを握りしめる。







「部活、がんばってね。わたしも今日これでがんばれる気がしてきた」



「はい!お互い頑張りましょう」



と、模範的かつ丁寧にわたしに言葉を返し、自分の席につく黒子君。




なんだ、黒子君って意外とこんなふうに優しくしてくれる人なんだ。



なんか想像通りというか…想像を越えていたというか…どう表現していいかわからなかったが、彼がよく気が利く人なんだということはわかった。





そしてそれは自分より他人のことを考えてくれるような人であると思った。





なぜならその理由は簡単で。




"大丈夫"とわたし言った黒子君。




しかし横目で黒子君に目をやると、ものすごく寒そうにしながらも手に息をハーッと吹きかけて温めている彼を見てしまったからであった。







「今度なにか黒子君にお返ししなくっちゃだね」



と、小さくつぶやいた。











end.
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