Love you
□その19
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てか、ほんまに、それはあかんやろ…
気が付けば俺は橋本に声かけとった。
「ちょ、待ちいや」
結構焦って服を引いた為、橋本はそのまま後ろに倒れて、その勢いで俺も倒れてしもうた。
「財前?」
「そやけど」
倒れたときに橋本の髪からはめっちゃええ香りがして…心臓バクバクなって、赤面した。
「ごっごめん」
橋本はすぐ立ち上がった。
「送ってく」
というわけで、橋本を送ってくことにした。
本当は
本当はこないだ白石部長と話しとったことを聞くつもりやった。
盗み聞きはあかんと思ったけど、聞かずにはおれへんかった。
俺、焦っとったのかもしれへん。
強引に聞き出そうとしとった。
けどなんか、俺に言うてくれへんかった。
絶対、なんかあるんやと思った。
そういえば白石部長、最後に観覧車に乗ったとか言うてた!
まさか、そこで…。
いや、それはありえへんやろ。ましてやあの橋本がやぞ??
だけど、それなら俺には話してくれたってええやろ。
話せない事情でもあるんか?
そればっか気にしとった。
気になって気になってしゃあない。
まわりから見れば笑われてまうような感じやけど、俺は自分の気持ち気付いてから、少しでも橋本の近くにいたい思て…
不器用やけど、適当な理由つけてそばにいようと思った。
なのに何でや?
何で俺に話せへんの?
やっぱ橋本は…部長のことが好きなんやろか?
それともやっぱ幼馴染み言われとった丸井なんか?
それか、謙也さん?
…は、俺的にはありえへんと思っとるけど。
けど俺は待つことにした。
自分から言えると思える日が来たら、言うてほしい。
そう思った。
無理に聞き出そう思ても、これ以上橋本を嫌な気分にさせとうない。
だから俺は笑って橋本と別れた。
「……待ってる」
小さく呟いた。
その“待ってる”はきっと、橋本が振り向いてくれるのを待ってるっちゅうことだったのかもしれん。
いや、そうに違いあらへん。
好き。
その言葉だけを伝えられたらどれだけ楽やろか。
けど、伝えたら辛くなるのは俺かもしれへんし、橋本かもしれへん。
そうしたらいつのまにか距離があいて橋本は俺の隣からいなくなってまう気がした。
それが怖かったんや。
怖くて怖くてたまらんかった。
いつか橋本を俺が振り向かせて、
部長とか丸井とか謙也さん(?)とか……ちゅーか他の男の入る隙間なくなるくらいまで距離を縮めるんや。
俺の理想やな。
ああー…俺重症やな。
橋本のこと頭に浮かべるだけで、気持ち高ぶっとる。
それほどまでに、好きになってたっちゅーことか…。
今まで女を好きになったことなんてあらへん。
だから到底告白なんかできるわけないんや。
気持ち通じればええのに。
言葉にできへん
素直になれへん
けど他の男には負けとうない。
だから、俺が橋本を好きにさせちゃるんや。
絶対、誰にも渡さへん。
みんな年上やからって、手加減は絶対にせえへんよ
久しぶりに熱くなっとる俺。
止められへん
誰も止められへんから!
新たな決意を胸に俺はまた白石部長の家へと帰っていった。
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