Love you

□その19
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自分の気持ちに気付いてから、なんとなくずっと財前のことを意識してるあたし。



これを好きというのだと改めて理解した。



だけど誰にも打ち明けられなかった。親友の有紗にさえも。



有紗は多分、即「告ってまえ!」だと思うから、ちょっと話せない感じ。



でも誰かに相談乗ってもらいたい気もした。


どうしよう…


財前はクラスの男子とはそこまで仲良くはない。


いわゆる一匹狼というやつ。


ただ、テニス部のみなさんなら相談できるかもしれない。



とも思ったけど、


さすがに無理だよなぁ


てことなり、結局時間にまかせることにした。




一時間目は渡邊先生により国語。

珍しく財前がちゃんとノートを取っていた。



オ「お、珍しいやないか、財前君」



財「まあ、しゃあないすから」


なにがしゃあないんだよ


つか一時間目さぼるって言ってなかったっけ?


ま、いいや。



オ「頭の方も天才にならなあかんな」


財「監督うっさいっすわ。余談は終いにしてはよ授業進めたらどうなんすか」


オ「ハッハー(笑)それもそうやな。ほな続きいくで」



監督にまで毒舌上等な財前。


ははは、すごいな(笑)


顧問に逆らえる生徒なんてそうそういないよね。


ある意味ですごかった。




そうしてようやく午後になった。


「財前、行く?」


財「おう、行くで」



有「あれ、二人午後からさぼりなん?…ほないってきぃ(笑)」



なんとなく含みのある笑みを見せた有紗。

でもそんなことは気にせず屋上に向かった。




屋上へ行ったら、なんか知らない女の声がした。



「……??」



見ると、チャラチャラした女が四人いた。


財「先客かいな…」



小さく隣で呟く財前。



向こうもあたしたちに気付いたのか、こっちを見てきた。



すると女の一人に、



「あ!あんたテニス部のマネージャーじゃん」



「あっほんとだあー」



とか言ってきた。



見たところ女は3年らしい。制服のリボンが3年のカラーだった。



女たちの言うことを無視して離れた場所に座ろうとした。



「てゆーか橋本由奈とか言ったよね?あんたまじムカつくんだけど」



……は?



いきなり浴びせられた罵声。



いきなりなんなの

あたしこの人達に恨まれるようなことした覚えないし。



「つーかシカト?」


別にあんたらが一人で喋ってるだけじゃん


あたしこいつらと話してるつもりないしっ



「今までテニス部のマネージャーになりたくてもなれなかったのによ」


「なんでおめーみてーなのがのこのことマネージャーなんかしてんだよ」



それはテニス部の部長に言われたからだし?


てゆーかなりたいと思うだけじゃ駄目だって白石先輩言ってたしさ。



「調子こいてんじゃねぇぞ!?ブスが」


……あ?


「なんとかいったらどうなん…だよ!!!」


いきなり胸ぐらを掴まれた。


さすがにこれには黙ってられない。


「離してもらえます?」


「男たぶらかしやがってよ」


「きめーんだよ!おめーみてえなやつ、白石とはつり合わねんだよ!」



「……はあ??」



何で白石先輩が出てくんだし。


しかも財前の前であんまりギャーギャー言われても困る、し。



「てか離してくださ…」



財「ええ加減にしたらどうなんすか」


見ると財前が、あたしの胸ぐらを掴んでいる女の手を掴んでいた。




「財前、だったっけ?あんたさあ…」



財「消えてもらえますかね」



「あ゙?」



財「さっきっから…テニス部だの白石部長だの、うざいすっわ。ちゅーかうちのマネージャーに手出さんといてくれますか」



年上に容赦ない毒舌攻撃。


「てめーふざけてん…」



財「ま、あんたらみたいなのを部長がマネージャーに選ぶわけあらへんな」



「誰に向かって言っ…」


財「だいたいそないなことは部長に言うたらどうですか?もう橋本には一切近寄らんでください」





「………」



さすがに女たちは何も言えなくなったのか、屋上から消えていった。


財「…ふう」


「あー…なんかごめん。ありがとね」



財「むかついただけや。なんか、部長がどうとか言いよって」


「でも、さっきの財前、ちょっとかっこよかったよ(笑)」



財「あほか」


赤面する財前。
かっこよかったけど、可愛い。それは本当。


また笑いあった。

てか時間たつのはすごく早くて、いつのまにかもう白石先輩の家に向かう道を財前と二人で歩いていた。


ちょっと緊張したけど、二人きりっていうのも、本当はうれしかった。

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