Sweet

□モノマネの王子様
2ページ/5ページ






とりあえず、相談に乗ってみてもらうのがええかな。


相談する言うたら、やっぱユウジといつも一緒におる小春に聞くのがええと思う、けど…。




タイミングなさすぎやっ!!



ユウジと小春が一緒におらへんときなんて、滅多にあらへん。



かといって白石とはうちあんまり仲良うないし、忍足はちょっと頼りないし…って考えたらやっぱ小春しかおらへん。




どないしたらええんやろ。



色々考えてるうちに何日も日は流れていた。








…で、ある日のこと。



いつもみたく登校して、教室に入った。



すると教室にはもう既にユウジがおった。




…あれ、小春は?



と思い、首を傾げた。




「あき、おはよーさん」



「わわっ!お、おはよさん…」



「なにびびっとんねん(笑)むっちゃうけんねんけど」


振り向くとそこにはユウジが。


あかん、小春おらへんちゅーことは、ユウジと二人っちゅーこと。



小春に相談する前にユウジと二人なんて駄目やん!!




「今日な、小春休みなんや〜…(泣)」


「…へ?」



「だから、小春今日休みなんや」



なるほど、だから一人でおったんか。


納得納得(笑)



ってちゃうねん!




「だから今日1日は俺の相手しいや(笑)」



「うちは遊び道具かい」




「だって小春おらんと寂しいし、暇やろ?俺」



なんかちょっとカチンときた。


「うちがおるんなら暇やないやんっ!!(怒)」


「…ほなら、今日は相手してな?」




「あ……」




な?と怪しげに笑った。




キーンコーンカーンコーン



「…一時間目、移動やで。はよ行くで!」




チャイムが鳴った瞬間にユウジはうちの手をむりやり引いて歩き出す。




「ちょっとユウジ…!?」




「なんや??」



「いや…別に…」



少しうつ向いた。


だってユウジがうちの手をしっかりと握って引っ張るから。



温もりが直に伝わってきてて、やけに意識して、ドキッとしてるんや。




そのあと授業も何故かユウジの隣。



授業終わってもユウジと一緒。



嬉しいけど、なんか複雑。


今日一緒におるんは、うちが今日だけは小春の代わりだからなんやろ…?


そう思うとなんかやっぱり複雑や。




けど、今日1日だけでも、そばにおれるんなら、それを大切にしよ思った。








お昼。



「今日の給食うまそうやな(笑)」



「うん」



「あー、あきにんじん苦手やろ。食わせたろか?」



「いや、食べたないわ(笑)」


すると近くの男子が言うてきた。




「なら俺がごぼう食わせたろか〜♪」



と、男子は箸でごぼうをつまんでうちに差し出してきた。



え、おい!



「ちょっと、え?」


そのときや。



「おいあき」


「え?」


うちに向かって言うてきたのはユウジ。



「な…何…?」



「浮気か、死なすぞ!」




いつも小春に言うてる言葉。


うちに言うてくれたんや。


驚きで固まってしもた。




「そこつっこんでもらいたいねんけど」



「ご、ごめん」



なんてつっこんでええかわからへんかったんや。


浮気か!って言われたら、うちは“なに言うとるん!うちはユウジだけやで♪”なんて小春みたく言えるわけないやん。




ああ、でも言いたいな。


言えたらええのに。

言えたらええのに!



て、ん??



「言えばええやん!!」




「あき、どないしてん」


「あ、何でもない」



あかんあかん。
声にしてもうたわ。




これはもしや、今日は告白のチャンスやないん!?



今日は小春がおらへんなら、うちが頑張れるときやん!




がんばろか!!

うん、がんばろ……。


>
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ