Sweet

□やっぱりヘタレ
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パンパンッ!!!


不意にクラッカー(?)のような音がしたと思ったら、




「せぇーの…っ」





「「「謙也誕生日おめでとーっ!!!」」」




…へ?




その瞬間に、暗かった部屋の明かりがついて、目の前にはテニス部のみんなが現れたんや。




「な…なんや?状況が読めへん…」



「だからヘタレやて言うてるんですわ。謙也さんのアホ」



「なっ…財前!!」



「おっと!キレたら謙也さんに顔面ケーキですよ?」



「え?」




ベチャッ!!



いきなり顔面に押し当てられたケーキ。




口や鼻の中にクリームが入った。




「謙也さんにプレゼントですわ」




「よ……よくもやったなあ…っ」



まわりの連中が笑うてるのがわかった。



恥ずかしい、けど。



祝ってもろて嬉しないわけない。




けど一つ気がかりやった。




「白石、あきは?」



その場にあきがおらへんことや。



タオルで顔面を拭きながら、白石に問いかけた。



「さあ…どこ行ったんやろ…」




どうやら白石も知らんみたいや。




「謙也。あきなら多分謙也の部屋におるたい」



千歳がそう言うてきたから、俺はそれを聞いて部屋に向こうた。




「あきー?」




階段上がる途中、呼んだが返事はなし。




「ほんまどこやねん…」





ガチャ



「おーい?」




部屋に入ってすぐだった





後ろから肩を掴まれて(むりやり)振り返させられて、




振り向いた瞬間目の前にあきがおって、振り向き様にキスをしてきた。





「ちょ…あきっ…」



「誕生日おめでとう」




「せやのーて…っ……いや、せやけど何で…」



「何で?うちがここにおったら悪いん?」



「わ…悪ないけど…」




「あ、ほならあれやな…テンパってるんとちゃうん?謙也」



「てっテンパってへんわ…別に」



ほんまはさっきの不意打ちキスで動揺しまくりや。







「謙也、来るん遅いわ。浪速のスピードスターが彼女をこない待たせるなんて、あかんな」



「う…スマン」



すると急に笑い始めたあき。


なんや?なんか今俺、変なこと言うたか?





「何で笑うとるん」



「だって謙也…さっきっからヘタレっぷり大放出してるやん…(笑)」




「へ、ヘタレやて!?」




「おん。」





な、なんて失礼なやっちゃ…。




「けどうちは、謙也のそういうとことか、好きやねん」




「……///」


こ、このタイミングで“好き”かいな。



しかも、あきは横から俺の手を遠慮がちに握る。



「今日だけはめっちゃ甘えてもええかな?」



そない目で見られたら、甘えさせたなるっちゅーもんや。




いつも生意気で強がりなあき。


けどほんまはやっぱ可愛えやっちゃ。




せや、好きなんやから、当たり前やな…。





「好きなだけ甘えてもええで?」



「…おーきに」



ぱっと向けられた笑顔がたまらなく好きやと思った。





自分の誕生日に好きなコとこうしてられるっちゅーのは、たまらなく幸せなことやって、今日改めて気付いた気がする。




大好きな、あきと。



end.


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