PLAYERSU

□未来の約束事
1ページ/2ページ




「みっ緑間君!」



あるとき、緑間君が1人でいるのを見計らって声をかけた。理由は1つ。高尾君と仲が良いから。


「聞きたいことがあるの!」
「何なのだよ?」
「……その、ね、高尾君って…彼女、いるの?」


思い切って聞くと、緑間君はびっくりした顔を見せた。まぁ、この反応は予想していた。同じクラスだけど、高尾君とはよく話すけど実を言うと緑間君とは全然話さないし。

「…か、彼女だと?」
「ん、そう。彼女、いるのかなーって。高尾君」
「そんなことは本人に聞いたらどうだ」
「きっききっ聞けるわけないじゃない!」

休み時間の教室で思わず大声を出してしまい、まわりのクラスメートがわたしたちを見る。

高尾君はちょうど教室にいなかったのが幸いしていた。そのときを見計らっていたのだけれど。


「そんなの、高尾君のこと好きって言うようなものじゃん」
「好きなのか?高尾のことが」
「……そう、だけど」


緑間君が急にそんな風に聞いてくるから、ちょっとうつむき気味で頷く。

"で、彼女は?"ともう一度問いかけようとしたら、聞き慣れた明るい声が教室に響いた。


「真ちゃーん!!」


教室の入り口あたりにいるのは話の中心人物である高尾君だった。しかも、ズケズケと教室に入ってはあたしたちの間に割り込む。

「なんなのだよ、高尾」
「大坪さんから部活の連絡でさー」
「それより、神崎がお前に聞きたいことがあるそうなのだよ」
「え?なになに?みくちゃん」


と、急に話を振られて、取り乱す。第一、あたしは高尾君に直接的に彼女がいるかどうか聞くつもりはなかったのに。

緑間君てば、本当に使えない。と密かに思ったのは本人には絶対に言えない。

しかし、あとに引けなかった。"やっぱり何でもない"と済ますこともできたのだが、このチャンスを活かさない手があるのかとどこからかそんな声が聞こえるような気もする。


「あのねっ高尾君!」
「おお」
「高尾君…って、彼女とか……いるのかなぁ…なんて」
「かっ、彼女!?」


高尾君の顔が一気に赤くなるのがわかった。

これはまさかいるなんて展開なのかと不安になる。高尾君はああ見えて意外とモテる要素がたくさんあるから、彼女くらいいてもおかしくない。

でも、だとしたら、ものすごく凹む。告白とかする以前に眼中にもないなんてこんな悲しいことはない。

でも、高尾君の答えはそんな不安を覚えるあたしをほっとさせた。


「いねーけど……何でだよ?」
「本当に?だって高尾君、モテるから」
「モテるから彼女いるとは限んねーだろ?」
「…モテることは否定しないんだ」

そう言ったら笑われた。でも事実だから、嫌味にも全然聞こえなかった。

しかし、ふと高尾君が言った言葉に、むむっと反応した。


「まぁ、好きな奴にモテなきゃ意味なくね?」


となるとなんとなく考えられることは1つしかなかった。


「ってことは……高尾君は好きな人がいるってこと?」

その瞬間、余裕綽々だった高尾君がいきなりギクッとしたかと思えば視線をそらして苦笑いをし始めた。本当にわかりやすい人だと思った。


「そういうことだったのね」
「や、違うんだって!」
「なにが違うの?」
「…………………」

黙り込む高尾君。
高尾君に好きな人がいるということは明白だったが、そうなればやはりそれは誰なのかというのが気になる。


そんなやりとりを横から見物していた(使えないと認定した)緑間君はこのタイミングで空気を察したのか"トイレに行ってくるのだよ"とその場を立ってしまった。




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ