PLAYERSU
□意地悪しないで
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「ほら、俺のこと好きって言ってみろよ」
「……………っ」
「なに、もうなんも言えないわけ?弱えーのなー」
とかなんとか言う高尾くん。こんなふうに言うくせにわたしに"好き"とか言わせる気はない。
放課後の視聴覚室。いつ誰がやってくるかわからないこの状況で、彼と2人きり。
一緒に居られることは嬉しい。2人きりっていう状況を作ってくれたことも感謝する。
感謝する、けど……。さすがにこんな風になるなんて思ってなくて。
いつもみたいにおしゃべりするだけならよかった。
なのに急に後ろ向きにされて抱きしめられたと思ったら、後ろからわたしの口元に手をやって、お構いなしに口内に指を突っ込んでいるのが、今の状態。
なんとかしようとして高尾くんの手を退けようとしてもそんなこと出来なかった。
「ほーら、どうしたい?言ってみ?」
「……あっ…あえ…」
「なに言ってんのかわかんない」
とか言いながら舌を押さえつける指先に力が入ってさらに何も言葉にならなくされる。
「どうして欲しいか、ちゃんと自分の"クチ"で言えよ」
「いぁ……や………あっ」
「聞こえない。もっとその声、聞かせて」
耳元で言われると、問答無用で高尾くんのことを感じてしまう。こんな嫌らしい自分、ダメだって頭ではわかっているのに。なんだかんだ言ってやっぱり彼を求める気持ちがそこにある。
自力で立っていられなくなったために、そのまま口内に指を入れたまま2人して床にしゃがみこんだ。余計高尾くんを近くに感じて、胸が高鳴るのがわかる。
「ん……ああ…や…あっ」
「その声エロいなー。みくってばマジ変態だわ、ハハハ」
「い……あぇ」
「つかまだ俺なんもしてねーよ?そのくせ喘ぎ過ぎ」
思わず涙目になる。
そこまで言ったところで口内から指が消える。
舌先の解放感に一瞬浸ったあとに高尾くんに文句を付けようと後ろを向きながら睨みつけるとほぼ同時、突然視聴覚室の扉を開ける音が聞こえた。
「誰だー?鍵閉め忘れた奴は」
どうやら週番の先生らしい。正直ものすごく焦った。こんなところで男女が2人で密着しているなんて見られたらどうなるかわかったものじゃないから。
しかしわたしたちが居たのは入り口から離れた場所。でもこのままの体勢だと居ることなんて明々白々。
だから、かもしれない。
高尾くんは先生が入ってきた瞬間、さっきまで口内にあった手でわたしの顔を押さえて半ば強引にキスをしながら、傍にあった山積みの荷物の陰に隠れて先生の死角に入るように押し倒してきた。。
あまりに突然すぎて頭がついていかなかった。でも、ここでちょっとでも声を出してはいけないと思い、必死に必死に受け止めた。
高尾くんも"声、出すな"と無言の圧力を掛けてきている気がした。
なにも、キスなんてしなくてもいいのに。
こういうときの高尾くんが考えていることはなんとなく察しがついた。
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