PLAYERSU
□素直になれない
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「僕と付き合わないか」
本当は好きだった、赤司くんのこと。
だから、こんなふうに言われて夢みたいだと思ったし、断る選択肢なんてなかった。
必然のようにわたしたちは付き合い始めたわけだけど、わたしはイマイチ赤司くんに対して素直になれなかった。
理由としては、初めての彼氏だったから。
休日にはデートしたり、手を繋いだり、抱き締め合ったり、キス…したり。
そういうの全部が初めてだったから、どうしていいかわかんない時も多くて、それが素直になれない原因であった。
─
今日は久しぶりのデート。
赤司くんは部活が忙しいから、オフのときなんて滅多にない。
でも、そんな珍しいオフはいつもわたしとの時間にしてくれる。
こう毎回自分の時間ををわたしにくれるのは嬉しいけれど、迷惑じゃないのだろうか。
疲れているときくらい、やっぱり休みたいんじゃないのだろうか。
気を遣わせているんじゃないか。
隣を歩く彼にふと問いかける。
「たまにはオフを1人で満喫したいと思うこととか…ない?」
「どういう意味だ?」
「いつもわたしと一緒にいてくれるけど、オフの日くらい休みたいとか思わないのかな…って」
遠慮がちに問いかけると、少し間を空けてそれに応じた。
「まぁ、そういう気持ちもなくはない」
「…やっぱり。わたしの為にそんなに気を遣わないでいいよ?」
そう言うと、わたしの言葉を遮るようにして"だが"と続けた。
「みくはそんなこと考える必要はない」
「………どうして?」
「強いて言うなら、僕がこうしていたいと思うからだよ」
不意に手を握られて、思考回路が一瞬停止する。
赤司くんの手は女の子とは違う男の子らしい手をしていた。温かくて、安心できる。
それでいて、わたしをこんなにもドキドキさせる。
「だからみくはそんな風に考えなくていい」
無愛想だけど、そんな彼の横顔が無性に愛おしく感じた。
しかも、そんなにストレートに言われると、こっちとしてもなんというか照れてしまう。だから、まともな言葉も返せず、"うん"と言うしかなかった。
実はこのときに赤司くんが他に一体何を考えていたのか、わたしは知るわけもなかった。
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