Sweet
□ラブレター
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「謙也、ちょいひとっ走りしてポストまで行ってきてほしいんやけど」
「何でまた俺なん!?」
とは言いつつもあきの言うた通り仕方なく郵便受けまで走る俺。
「おかえりぃ〜やっぱ謙也は足速いんやなぁ」
「当たり前やろ」
今俺の家にあきが来とる。
一応幼なじみのあき。けど可愛くって仕方あらへん。
ま、あっちはどう思ってんのか知らへんけど。
で、いつも俺はあきに買い物行ってこい言われたり、今みたくポスト行ってこいだの言われる立場。
つまり、完全なパシリ。
俺の気持ちなんか知らへんくせに呑気に命令ばかりしよるあき。
「ちゅーかさ?謙也って足速い他に長所ないん?(笑)」
「失礼なやつやな。長所言うたら、例えば何や?」
「小春やユウジみたく笑いのセンスもあらへんし、白石ほどの美貌もなければ千歳ほどの頭もないやん、謙也って」
俺の椅子に座ったままあきは言った。
「笑いも美貌も頭もなくて悪かったな!」
「謙也って昔からそないな奴なんやなぁ(笑)全然変わらへん」
「どういう意味やそれ」
「小さいとき侑士にいっつも対抗しようとしてヘマしてたやん!ヘマばっかしとんのに諦めようとせえへんとことか変わらへんなあ思って」
「それ褒めとんのかけなしとんのかわからへん」
「褒めてるつもりやけど?」
「もっとマシな褒め言葉考えんかい」
そんな言葉にすら、踊らされとる俺。
「オマケに謙也って鈍感やね」
「おまっ…それ以上言うたらしばくで?」
「…だから鈍感言うとるんや。謙也のアホ」
「さ、さっきっから意味わからへん!」
「まっ謙也の頭やとわからへんやろな」
「はあ!?なめるんやないで」
「…別に」
急に黙りこんでしんみりとするあき。
俺、今傷つけるようなこと言うたか!?
「おーい?あき?」
「謙也はほんまもんのバカや」
は?泣きそうな顔で言われても困るっちゅー話…
「もっぺん郵便受け行ってきいっ!!」
と、いきなり押し付けられた一通の便箋。
無茶苦茶やな…
ちゅーかさっき行ったばっかやのに何でまた行かなあかんのや!
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